事務所通信 平成19年2号掲載
国民年金第3号被保険者 

最近、再びパート労働者に対する厚生年金加入問題が議論される事が多くなってきました。政府はこれを拡大することを検討しているようですが、まだ議論すべき問題が多いような気がします。
 
  政府側の見解は、安倍内閣が打ち出した「再チャレンジ政策」の目玉の一つで、正社員との格差是正が狙いだと言うことです。
 一方、外食産業やスーパーマーケット等、パート労働者を多く抱えている企業では、保険料の負担が増大するためこれに反対しています。
 
 しかし、私は、これを議論する前提条件が整っていないのではないかと思います。それが、標題の国民年金第3号被保険者の制度です。

  国民年金第3号被保険者とは、代表例が「厚生年金加入者である会社員の夫の妻(専業主婦)」で保険料を免除されている人です。
 つまり、保険料を直接負担することなく将来の年金が受け取ることができるのです。普通の感覚からすると保険料の負担をすればこそ、将来年金を受け取ることができるのではないでしょうか。
 
 一方、自営業者の妻は、夫同様国民年金を支払っています。例え専業主婦であっても納付義務があります。この不平等を解消して初めてこの問題を議論することができるのです。
 つまり、「会社員の妻も国民年金の納付義務がある」とすれば良いのです。
 全員に納付義務があれば、後は誰がいくらどういう方法で負担するか決めればよいだけです。
  これがないため、年間の給与収入が130万円未満であれば、保険料を支払わなくても済むという心理が働くのです。(条件によってはこの場合においても支払わなければならないときがありますが・・・・)
 
 こうした本質的なことを解消しないまま、改革案に対し、賛成意見と反対意見が飛び交っているのです。
こうしたことを書きながら、「将来の年金なんてあてにならないな」と感じていますが、これは私だけでしょうか。
むしろ、このことが最大の問題点なのかもしれません。

 

所 長  須 田 幸 英
事務所通信 2月号掲載
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